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ヨハンス・ゼルーク(:Johans Zelluk)は、ヴンダーシアの政治家。
フェルテ治世において宰相を務め、保守党を率いて独裁体制を敷いた。1993年、共和革命の結果辞職を強いられ、政界から退いた。
ゼルーク
出生1924年
デウス・アッタ王国宰相
期間1984年~93年6月30日
君主フェルテ

概略

王位継承問題

年老いたローディフの治世においては早い段階から王位継承者の議論が起こっており、王の政治介入を抑えようとフェルテを推す左派と、逆に為政者としての力のある王を即位させようとする平和党ら右派との間で対立が深まっていた。ゼルークはその頃から保守党の党首であり、解決へ向けて奔走した。
彼は家柄の良いフェルテを即位させることで王室との関係を保ちつつ左派との関係を維持し、さらに幼いフェルテを懐柔することで簡単に政権を獲得できると考えた。彼は王室と密かに交渉してフェルテとの面会を果たし、平和党に対してフェルテの立太子を認めるよう迫った。王太子選定では家柄を考慮すべしという勅書がローディフの名で王室によって届けられると、ついに平和党は折れてフェルテが王太子に決まった。

フェルテ即位まで

ローディフの病がいよいよ重くなってきていることを聞くと、彼女を繰り返し見舞うとともに王太子となったフェルテとのやり取りも増やしていった。直接の面会も何度か叶い、フェルテは少しずつゼルークに対して心を開いた。
1984年についにローディフが死去すると、ゼルークはフェルテから、保守党に政権を託す約束を取り付けることに成功する。

宰相就任

フェルテが王に即位すると、約束通りすぐにゼルークが宰相として指名された。ゼルークはリーツェルに習って保守党のみの政党内閣を組閣した。
はじめは期待された通り中道右派として左派と右派の仲介役を務めて国内の対立を和らげたが、1986年あたりから独裁傾向を強めていった。
1989年に冷戦の終結が宣言されると、翌年90年にはソ連との国交を回復した。それを契機とし、依然として対立が続くガルス王国の孤立化を図るためガルセシアとの関係が深い旧東側諸国との国交樹立を目指した。

ガルセシア戦争

ゼルークによるガルス王国孤立化政策に加え、ソ連国内の経済低迷と内政混乱はガルス王国を大いに焦らせていた。1991年についにソ連が崩壊すると、ガルス王国内で密かにデウス・アッタ王国侵略の計画が練られ、翌年秋に突如宣戦布告を行いガルセシア戦争が始まった。しかし国内経済が衰退していたガルス王国はアッタ王国の足元にも及ばず、侵略をするどころか軍隊が壊滅し国内に攻め入られる。ゼルーク政権はガルス王国に対する占領と制裁を掲げ、年内に首都ディヤレクを陥落させた。
しかし、その行為は左派などから「やりすぎだ」と非難を受けることになった。さらに、短期決着だったとはいえ侵略により戦費がかさみ、増税を強いられた。
また、ガルセシアの併合はガルセシアの民衆を怒りを買い、ディヤレクを中心として暴動が起こる。

増税問題と支持急落

財源不足に陥ったゼルークらは追加予算案を提出するも、ガルセシア併合への非難もあって議会で否決される。続いて国王の名の下に案の承認を命じるも、これも議会で"保留"とされてしまう。
さらに同じ頃、ガルセシアでの民衆の暴動がエスカレートし大反乱が始まり、政府は軍事費が不足することを承知で鎮圧のために軍を派遣した。
ゼルークは再び国王に願い出て、今度は議会を無視して政策を強行できる緊急勅令によって予算追加と増税を行う。それによってひとまず資金は補填されるが、保守党の支持はさらに落ち込み、自由党などを中心として"民による政権交代"の機運が高まった。
国内経済が低迷していた中で増税が強行されたことにより、労働者層が怒りを爆発させてゼネストが発生した。政府はこれに対しても軍を派遣しようとするが、軍はガルセシア大反乱の鎮圧で軍事費の不足を悟っており、鎮圧を終えたところで満足な報酬は得られないと思った彼らは出動を拒否した。
労働者のゼネストと軍部のストライキでいよいよ苦境に立たされた保守党は、さらに党内の内部分裂も起こす。ゼルークと対立した大蔵卿レセールは独断で追加予算の納入を中止し、内閣の資金源を断った。

革命

6月には軍部によってセキオウ行進が行われるも、ゼルークはゼネストの後処理やレセールの裏切りへの対処に追われておりデモ行進に対処できなかった。その間にライネスはフェルテに謁見し退位を迫った。政務を終えたゼルークはライネスの謁見を知り王宮へ駆け込むが、レセールや王の侍従に止められてフェルテとは会えなかった。その後ゼルークは弁明に徹するが、26日には宰相解任が決まり、党内でもレセールを中心とした反対派から厳しく非難された。30日に共和制宣言が行われると7月に彼は党を除名されて政界を去った。

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